月経不順
〈 月経周期の乱れ 〉
01.月経不順とは
月経の周期は、25~38日(変動が6日以内)と定義されていますが、これに当てはまらない場合は月経不順(生理不順)とされます。
周期が
24日以内の周期が短い月経は、頻発性月経
39日以上の周期が長い月経は、稀発性月経
と言われます。
月経期間(出血期間)については、3~7日間とも言われています。
月経期間が2日以内は、過短月経
月経期間が8日以上は、過長月経 と言われます。
02.月経不順の原因
〈東洋医学的 月経不順〉
東洋医学的に月経不順の原因には「氣」「血」「熱」が関わります。
1.周期が短い月経(24日以内)頻発性月経
関わるのは、「氣」と「熱」。
①気虚
氣には「血」を留めておく働きがありますが、氣の不足により血(経血)を留めておくことが出来ず、月経が早くなります。
気虚の原因は、飲食不足・大病・長患い・過労・睡眠不足・臓腑(特に脾)の機能低下です。
東洋医学的に熱は数種類あります。
その中でも、月経不順には、血・水・臓腑(特に肝)が持つ熱が関わります。
②血熱
「血熱」は、血が持つ熱が多すぎて血の動きが早くなり月経が早くなります。
血熱の原因は、精神的な興奮状態が続いたり、お酒や脂っこいもの、辛いものの取り過ぎ、カラダ自体が熱っぽい(発熱や熱中症など)事です。
③虚熱
水の熱の場合は、少ない状態「虚熱」が原因です。
水が持つ熱は、物を冷まし、陰熱と言いますが、その熱が少ない状態を「虚熱」と言います。
陰熱が少ないため、血がもつ熱が冷ませず血の動きがコントロールできなくなり、月経が早くなります。
陰虚の原因は、睡眠不足・過労・加齢・性生活の乱れ・発熱・温熱環境・辛い物や熱いもの、冷たいもの、生もの、脂っこいもの、甘いもの、インスタント食品、唐辛子やカレー粉などのスパイス、しょうがやみょうがなどの薬味の食べ過ぎです。
④(肝)鬱熱
臓腑の肝氣の巡りが悪くなることで鬱滞が起こり、発生した熱で血の働きをコントロールできず月経が早くなります。
原因は、ストレス。長期のイライラや思い悩みも原因となります。
小さな傷でも温めると出血をしやすいことからもわかる様に、カラダの中で熱が発生することが経血の出血に繋がり、周期を早めてしまうのです。
2.周期が長い(39日以上)稀発性月経
「氣」「熱」と「血」です。
①肝鬱
周期の短い頻発月経と同様、臓腑の肝氣の巡りが悪くなることで血の働きをコントロールできなくなり、更に「血」の流れが乱されると「血瘀」の状態になり月経が遅くなります。
肝鬱の原因も、ストレス。長期のイライラ・思い悩みです。
②寒邪
寒さが体を強張らせ硬くなるように、血の流れをギュッと凝滞してしまう事で月経が遅くなります。
寒邪の原因は、冷える生活環境や冷たい物、甘い物、乳製品などの食べ過ぎ
③陽虚
カラダ自体を温める陽気が足りないために、機能特に卵巣・子宮の機能が乱れ、月経が遅くなります。
陽虚の原因は、加齢、虚弱体質、術後、産後、長患いなどです。
④血虚
「血」自体の量が少ないために月経が遅くなります。
血虚の原因は、ケガや術後、妊娠、出産、慢性出血、胃腸トラブルなどです。
現代医学的 月経不順
月経不順の主な原因は
1.急激なダイエット
2.ストレス
3.過度な運動・体重コントロールの必要な競技
4.不規則な生活リズム
5.子宮や卵巣、甲状腺などの疾患
があげられます。
周期が24日以内の頻発性月経の原因の多くは、
1.排卵の有無による卵胞期の短縮や黄体期の短縮(黄体機能不全など)
2.無排卵月経
などがあり、初経から間もない時期や閉経前によく見られます。
周期が39日以上の稀発月経の原因の多くは、
1.無排卵周期症
2.卵胞の成熟の遅れ(黄体機能不全など)
などです。
また、周期や出血量、期間から見て月経とは異なる出血である場合は機能性子宮出血(不正出血)と言います。
月経期間が2日以内の過短月経の原因の多くは、
1.女性ホルモンの分泌量が少ない(子宮内膜の厚み不足)
2.子宮発育不全
などです。
月経期間が8日以上の過長月経の原因の多くは、
1.脳視床下部や下垂体、卵巣のいずれかの機能不全
が考えられています。
〈無排卵周期症〉
月経様の出血があるが、排卵を伴わない病態の事。
月経周期が不順なことが多いほか、月経の継続期間(出血期間)が短かったり長かったり、月経量の変化が大きいなどの症状もあります。
このような症状+基礎体温が一相性を示す場合、無排卵周期症と診断されます。
初経から1~2年や閉経前に多く見られますが、不妊の原因の1つとも言われています。
ホルモン分泌の司令塔でもある視床下部の機能異常、多膿疱性卵巣症候群(PCOS)などによっても起こるため、妊娠を希望している方は、注意が必要です。
〈黄体機能不全〉
卵巣・黄体からのホルモン:プロゲステロンの分泌不全よって起こり、子宮内膜の分泌期変化が起こらない病態のことで、黄体期の短縮や不正出血などが起こり、卵子の着床障害を起こすため、不妊症や不育症の原因にもなります。
基礎体温や黄体期のホルモンを測定することで診断されます。
〈機能性子宮出血(不正出血)〉
器質的疾患が認められず、月経周期とは異なる時期の子宮からの出血の事。ホルモンの分泌異常が原因の事が多いが、まれに血液疾患などが原因の事もあります。
排卵期によくみられる出血は排卵期出血と言い、排卵直前にエストロゲンが減少することにより起こると考えられています。
その他、妊娠に関する出血もあります。
子宮筋腫やポリープ、悪性腫瘍などの器質的疾患、血液疾患や投薬による影響、甲状腺疾患などの可能性もあるため、様々な検査(内診・血液検査・超音波検査など)の上、診断されます。
出血が少量・短期間の場合は、経過観察で充分なこともありますが、繰り返しあるなどの場合は、婦人科医での診察を推奨します。
03.月経不順と鍼灸治療
鍼灸治療は、周期によりツボや経絡を選定し、背部・頭部・足へのお灸が多いのが特徴です。
特に氣の流れを調えることが「血」や「熱」の流れの調整につながるため、末端のツボへ鍼を行います。
また、症状別に対応臓腑のツボや経絡に行う事で、臓腑の氣血水機能を調整・補助を行います。
鍼灸の経験や部位により、使用するハリの太さやお灸の熱さレベルは適したものを使用します。
また、鍼は刺すだけでなく、鍼先だけを皮膚に軽くちょんちょんと当てる散鍼や
先の丸くなったてい鍼でのツボ押しや皮膚を擦る擦鍼、
コロコロと皮膚上を転がすローラー鍼などを刺さない鍼を使用することもあります。
その他、ストレス対策にヘッドマッサージを重点的に行ったり、陽虚の場合などは、ヒートマットやホットストーンによる温めをプラスします。
鍼灸初心者の方も安心してお受けいただけます。
参考)女性基本経穴(ツボ):三陰交、血海、子宮、気海など
05.月経不順や無月経のサイン
月経不順や無月経は、性機能からのサインでもあります。
トラブル①:卵子が育っていない・子宮内膜が作られていない
卵子や子宮内膜は女性ホルモンの分泌によって起こります。
女性ホルモンの分泌量やアンバランスのサインかもしれません。
女性ホルモンの分泌がないもしくは少ない場合は、子宮委縮により不妊を起こしやすくなります。女性ホルモンは骨の形成や脂質代謝にも関わるため、骨粗しょう症や脂質異常症のほか、心疾患や脳梗塞などのリスクにつながります。
トラブル②:排卵していない
無排卵の場合、子宮内膜を作り続けてしまう事に繋がります。分厚くなって出血するとこれが月経の様に感じられるようになります。子宮内膜の増殖は続きますので、ガン化のリスクが高まります。
比較的若年層に起こりやすく、多膿疱性卵巣症候群などを生じていることがあります。
また、排卵がないと妊娠が出来ません。長期の無排卵は不妊症の原因にもなります。
月経不順は、初経1~2年・更年期を除き、疾患だけでなく不妊のサインでもあります。
20~30代の方は、妊娠はもちろん将来のライフステージにおける女性特有の健康問題を考える上でも早めの対処を推奨します。
婦人科医での診察に抵抗がある場合は、
「基礎体温を最低3カ月記録する」ことから始め、婦人科系を得意とする鍼灸院などへの相談もおススメします。
PranaでもメールやLINEでもご相談が可能です。基礎体温を測っていなくでも、現在の状態のわかる範囲でもどうぞ!
06.運動による月経不順と無月経
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