01.便通とは?
胃や小腸で消化された食べ物は、水分の多いどろどろの液状となって大腸に入り、ゆっくりと水分が吸収されて固形化(便塊化)し、肛門へと送られます。
もし便塊が何日も大腸内にあると、水分吸収はさらに進み、便塊は硬く小さくなります。
腸の動きは、自律神経に支配されています。
便を体外に送り出すためのぜん動運動(=ミミズの様な動きで、腸のくびれが肛門方向に伝わっていくこと)は、胃に食物が入ると指令(=胃・結腸反射)が出て始まります。
そして、便が直腸に達すると大脳に指令が送られ、便意をもよおします(=排便反射)。
ストレスにさらされると、自律神経がうまくはたらかないため正常な腸のぜん動運動が起こらず、便が滞って便秘につながることがあります

02.便秘とは?
便秘とは、正常時に比べて便通の回数が減少・排便間隔が不規則になった状態の事です。ご自身の体調に不調を感じない状態であれば、回数などは決まりはありません。
ほかにも、便が硬く、排便に困難を伴う、排便時に強くいきむ、排便後に残便感が残る便量が少なく腹満感や腹痛を伴う状態も便秘と考えられます。
ある意味、ご自身の感覚に左右される症状です。
便が不十分で快適に出し切れない、快適と感じない場合は、便秘と定義されますが、5日以上排便がなく、不快感や違和感がある場合は要注意です。
食べた物が便として排出されるまでは通常1~3日かかると言われています。3日以上排便がない場合は、排便以外のカラダとココロのサインを見つけてみましょう。

03.便秘の種類と原因
便秘には《急性便秘》と《慢性便秘》があります。
原因は様々ですが、生活習慣や間違った食生活(ダイエット)、運動不足・ストレスなど原因は多岐に渡ります。
《 急性便秘 》
①機能性便秘:一過性の単純便秘のこと。
原因)旅行など環境が変わったり、食事量が変化(食べる量が少ない)
②器質性便秘:原因)主に疾患
腸管内狭窄:腸閉塞、急性虫垂炎、直腸の急性炎症
腸管外狭窄:腸腔内器官の炎症、急性代謝異常、
急性心不全、感染症などの時に起こる
《 慢性便秘 》
①機能性便秘
弛緩性便秘・・・腸の運動機能低下でおこり、便は太くて硬い。高齢者や経産婦に多い。
原因)運動不足・水分不足・食物繊維不足・腹筋力低下・ダイエットや薬物
直腸性便秘(習慣性便秘)・・・便意を抑制する習慣で起こり、女性や子供に多い。
原因)排便を我慢する
痙攣性便秘・・・腸の痙攣による便の通過不良。コロコロと硬い兎糞状の便。
原因)精神的ストレス・過敏性腸症候群(IBS)・環境の変化
②器質性便秘:原因)主に疾患
腸管内狭窄:腫瘍、炎症、術後の癒着、腸の形成異常
腸管外狭窄:腹腔内臓器の腫瘍や炎症、術後、ヘルニア
③症候性便秘:代謝、内分泌系疾患(甲状腺低下、糖尿病)、膠原病など

04.女性に多い原因
便秘に悩む方は、男性より女性の方が多く、また、高齢者ほど多くなります。
女性に多い理由は
①身体的理由:女性は腹筋が弱いため、大便を送り出すチカラが弱い
②ホルモン:性ホルモンの働きが大きく作用します。「黄体ホルモン:プロゲステロン」はカラダに水分や塩分を溜め込む働きがあり、腸壁から水分を吸収するため、便が硬くなりやすくなります。そのため、月経前や妊娠中に便秘になりやすくなります。
「卵胞ホルモン:エストロゲン」は、皮膚や粘膜に潤いを与える働きがあります、粘膜である腸壁の潤いにも関わります。更年期になりエストロゲンの分泌減少により便秘になる方が増える要因となります。
③ダイエット:食事量を減らすことにより、便の材料も減ってしまう事と、代謝に必要なビタミン・ミネラル・食物繊維や水分・脂肪分が減ってしまうため、腸の蠕動運動などに影響し、便が硬く、排便しずらくなります。
④精神的理由:トイレに行くことの恥ずかしさを感じることが多く、また、周りへの気遣い(仕事が忙しい、仕事のキリが悪いなど)をする女性。そのため、トイレへ行くことを我慢してしまう事が多い。また、旅行など環境の変化に敏感な方が多いため、ストレスとなり便秘につながります。

05.便秘の影響
便秘は、不要なものが体内に残って知る状態。そのため、カラダに様々な変化が起こります。
□自律神経が乱れる
□疲れやすい・疲労感がつよくなる
□うつ状態
□感染症にかかりやすくなる
□冷え症になる
□痩せにくくなる・太りやすくなる
□浮腫みやすい
□肌トラブル(肌荒れ・乾燥・ニキビ・吹き出物・シワ・シミ・くすみなど)
□腹部のハリ
□下腹部で音が鳴る
□食欲不振
□吐き気
□めまい
□おならがふえる・臭う
□肩こり
□口臭・体臭がきつくなる
□血便
□痔
などなど、腸内環境が悪化することであらゆる症状を引き起こします。
06.下痢とは?
便の中の水分量が多くなり、形を失い、液状や泥状になった状態。
通常より柔らかい状態は「軟便」と言います。
腹部の不快感や腹痛を伴ったり、排便回数が増えることが多くなります。
大腸の動きが異常(蠕動運動が活発)になると、大腸内の内容物の動きが早くなり、水分を吸収できず下痢や軟便になります。
また、大腸内の水分調節の異常が起きた時も便中の水分量が増して、下痢や軟便を引き起こします。

07.下痢の種類と原因
急性と慢性があります。
下痢の多くは疾患や感染症などによるものが多いため、鍼灸&アロマの適応は、以下の場合になります。
《 急性 》
①一過性下痢:気温変化、冷え、食事の後などにおこる
原因)エアコンによる冷え、気温低下、冷たい物の飲食、飲酒、食べ過ぎなど
②心因性下痢:学校、会社に行く前、試験・受験・会議・面接など大切なイベントの前に起こる
原因)精神的ストレス
《 慢性 》
①症候性下痢:過敏性腸症候群
原因)明確ではないが精神的ストレスや自律神経の乱れなど
08.下痢の影響
下痢は、便と共に水分が排出されています。水分と一緒にミネラルも排出されています。
また、腸内の通過が早いため、栄養も十分吸収できない状態です。
□脱水
□栄養障害
□体力ダウン
□肛門周りの炎症(痛みや切れ痔など)
など
09.施術を受けるタイミング
便秘・下痢共に、他の疾患の疑いがない場合は、出来るだけ早めにお受けいただくことをおススメします。
2~3日分の食事リストがあると原因をつかみやすくなります。
(㊟長期にわたる下痢は、疾患が隠れていることがあります。その場合は医療機関の受診をお勧めします。)
●初診~3ヶ月
お悩み症状寄りますが、
「Lunacycle Therapy60分」 もしくは 「Oriental Therapy&オプション30分」
冷えが強い場合は、生理期以外に「五行体質別ハーバルスチーム」を推奨します。
初回以降は、10日~2週間に一度が目安。
その間、生活習慣の改善や栄養指導、ストレッチ指導を行いますので、徐々にご自身で対策が出来るようになったなら、間隔を空けて頂きます。
その後は、最低でも、1~1.5ヶ月に一度のケアをおススメします。
具体的な施術方法とアロマ
お腹に触れて冷えや硬さ、触れたときの違和感などをチェック。
便通は自律神経と深い関わりがあるため、その場合には、自律神経調整を行います。
また、お悩み症状の原因に関わるツボや経絡に触れてお灸や鍼をするツボや場所、回数、置鍼時間などを決めます。
自宅で出来るストレッチなどもお伝えいたします。
参考)便通改善基本経穴(ツボ):天枢、大腸兪、神門、水分など
便通改善におススメのAroma精油:フェンネル・パチュリ・ゼラニウム・クラリセージ・ラベンダー・スィートオレンジなど



使用するお灸や鍼は、鍼灸経験や部位によって合うものを使用します。

ストレスが強い場合は、頭部への鍼灸治療をプラスします。
鍼灸が苦手な方、冷えが強く出ている時には、刺さない鍼やホットストーン、アロマなどへの切り替えもしくは施術に組み込みます。
腹部のリンパ節を刺激する美腸アロマトリートメントなども行います。
冷えなど気温差による便通異常には、五行体質別ハーバルスチームをご提案する場合があります。(月経期は除く)


